こんにちは。
飯田橋のカウンセリングルーム、サードプレイスのナカヤマです。
トラウマとなる出来事の例として、災害や、暴力、深刻な性被害、または重篤な交通事故、戦闘体験、虐待などを、以前あげたと思います。
ここで、
「あれ、前回の東日本大震災のような災害とニュースでよく報道される虐待とかって、体験としてはずいぶん違うんじゃないのかな」
と思われる人もいるのではないでしょうか。
一方は自然災害による人の力が及ばない(仕方がなかった)もの、もう一方は(悪意のある)人間からの故意の加害であり、その体験が内包する意味は確かに異なっているようです。
でもこれらの意味の違う体験をひとくくりに「トラウマ的体験」とくくってしまえるのは、その体験のあとに出てくる症状が同じだからです(ある種乱暴にさえ聞こえますが、そのシンプルさが医学のいいところでもあります)。
これらの症状群をPTSD症状といいます。
PTSD症状は4つあります。
侵入症状、過覚醒症状(覚醒度と反応性の著しい変化)、回避症状、認知と気分の陰性の変化、です。
例えば、重篤な交通事故に遭遇した人を想像してください。
気が付いた時は病院のベッドの上です。幸い軽傷ですんだようです。
よかった、助かったんだ、もう終わったんだと思います(実際もう安全です)。
無事に退院もでき、さあ、たまった家事や仕事も片づけないとなと思っています。
でも、夜寝ていると悪夢を見ます。それもぼんやりしたものではなくて事故の凄惨な現場が再現されているかのような生々しい夢です。それだけではありません。ある日、昼日中にもそれが不意に頭の中に飛び込んできました。その時のにおいまでが鼻を突きます。恐怖で叫びだしそうになります(侵入症状)。
悪夢を見るのが怖いので夜は気が張って眠れなくなります。日中もいつ過去に引き戻されるのか緊張しているせいか、少しの物音でも飛び上がって、ドキドキがなかなか収まりません。宅配便が来たときのチャイムの音でも心臓が止まるかと思うほどです(過覚醒症状)。
そのうちに侵入症状を恐れて、なるべくそのことを考えたりしないようにします。そのことを思い出すきっかけとなるもの、車の広告が掲載されている雑誌をみること、車に乗ること、テレビのニュースなどは徹底的に避けるようになります。テレビ番組自体、いつ関連したことが映し出されるかわからないので、テレビの電源は抜いておくようにしました。外出すると車を目にするかもしれないので、家にこもっています(回避症状)。
ずっと家にこもって、刺激を避けているので、感情が動くことがありません。感情が平たんになったようです。恐怖を感じる度合が減るかわりに喜びや楽しみも感じられなくなっています。こんな状態を続けていて、自分には根性がない、なんて無力なんだ、でも世の中は何が起きるかわからないから危険だ、そういう思いと焦りが頭の中を占めています(認知と気分の陰性の変化)。
以上は交通事故の例でしたが、ここに記述されているPTSDの症状に目を向けると、DVから逃れてきた人や、レイプの被害を受けた人、戦争から帰ってきた人など、他のトラウマ体験による多くの被害者にも同様に当てはまるのではないでしょうか。
PTSD症状をはじめとするトラウマ反応は
「異常な体験からの通常の反応」
ともいわれます。
トラウマ的体験後のPTSD症状などの反応は、とても強烈なため、しばしば自分の気が狂ったのではないか、とか死ぬんじゃないかと思うことがあるかもしれません。
でも、それらの反応は、なかなか人生で体験しえない(異常な)体験をした人間にとっては至って当たり前のことで、普通のことでもあるのです。
一方で、このPTSDがずいぶんと長引くようなら(半年以上とか続くようなら)、回復のために治療機関がお手伝いできることがあると思います。
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